訪問診療は甘い世界?②
- eternalclinic
- 5月30日
- 読了時間: 7分
更新日:5月31日

そんなに見ている人はいないとおもいますが(笑)、いつもご覧いただきありがとうございます。
前回訪問診療の世界に入って来る医師が多い理由のうち2つを説明いたしました。今回は残りの理由についてご説明いたします。
1. 業務時間がはっきりと決まっている、拘束時間が短い
2. 特別な知識や技術が必要ない、責任が重くない(そんなことはない!)
(→今回お話しするところ)
3. 1と2のわりに給料が格段に高い
4. 研修終わったばかりなどの経験が浅い先生でも、上司からあれこれ言われることなく好きにできるし一人前に扱ってもらえる
ではさっそく残りの2つの理由についてみていきましょう。
3. 1と2のわりに給料が格段に高い
一般の方はもちろん、医療関係者でも医師の給料についてはあまり知らない方が多いと思うので簡単に言うと、給料は大学病院<市中病院<クリニック<訪問診療<美容外科みたいな感じでしょうか。ただし経験年数や役職、担当患者数や当直業務ありかなど様々な条件で変わります。
大学病院勤務時代は現在の大卒初任給と同じぐらいかそれ以下です。そして拘束時間もダントツに長いです。驚かれる方もいますが本当です。ですから大学病院で勤務している医師の方は最先端の治療や研究し、医学の進歩の為に日夜身を削って頑張られているのです。その部分を少しでもいいので理解していただけたら幸いです。
一番給料面で高いのは美容外科ではないかと思います。それはほとんどが自由診療だからです。自由診療とは公的な保険診療が適応されない診療で美容外科以外にも最新治療などがあります。大学病院の教授の給料の何倍も研修医終わったぐらいでもらえてしまいます。「いいなぁ、だったら美容外科に行こう」という風になりますよね。ただデメリットもありますよ。自由診療は儲かるかもしれませんが、患者さんは高いお金を払うので求めるハードルが高くなるため、トラブルや訴訟になりやすいです。またそれだけのお金を払うなら本当にいいところでという気持ちが強くなるので、それこそ実力主義になり競争が激化していきます。今後美容外科に行く人が増えていくとますます競争が激しくなり淘汰されていくことでしょう。しかし、研修終了後すぐ美容外科に行く「直美」の医師はそうなったとき、医療経験が乏しいので代わりの場所がないんです。いわゆる”つぶしがきかない”選択をしているのです。
そこでバランスが一番取れているのが訪問診療だと思います。給料も大学病院の教授の2,3倍はもらえます。また拘束時間は長くなく、美容外科と違い医学的及び医療的な部分にも接しています。また患者さんとも近く、なぜ医師を志したのかを思い出される方もいらっしゃいました。よって訪問診療はあらゆる面でバランスが取れている世界なため、この世界に入ってこられる方が増えているのは当たり前のことなんです。開業の面でもそうです。昔と違って診療報酬の改定や物価高などのため外来のクリニックを開業しても儲かるどころかつぶれていくところも多くなっています。訪問診療は昨今の超高齢者社会では需要が多く外来クリニックほど多くはないためまだ魅力的な部分が多いと思います。まだと言ったのは、どこの世界にも制度を悪用していたずらに儲けようとする方がいらっしゃいます。私が見た中ではまだ居宅と施設の管理料が同じだったころ、100人の施設入居者を食堂に1列に並べてショットガン方式で1人30秒以内で終わらせるクリニックがありました。そういうことを国が許すはずがありません。徐々に施設の管理料は下がり今では人数にもよりますが何分の1に激減しています。そして国はしきりに『質の高い医療』を唱えています。そのときからも一人一人時間をかけて丁寧に診られていた先生も多くおられると思います。いつの時代でもどの業界でも少数の心無い悪いことを考える人たちのせいで一生懸命正しくやっているかたがあおりを受けるのは世の常ですね(泣)
4. 研修終わったばかりなどの経験が浅い先生でも、上司からあれこれ言われることなく好きにできるし一人前に扱ってもらえる
この理由は研修終了したばかりなどの方のみですが、大きな理由と言ってる方を数人知っています。特に訪問診療は医師は基本1人なのでどういう診察をしているかなど同行した看護師などのスタッフしか分かりません。患者さんも高齢で独居も多く、認知症などを患っているとなおのこと医療の質について文句を言われることはほとんどありません。ただ、患者さんの接し方や態度などの接遇面は割とクレームが来ます(特に施設の訪問診療では)。逆に言えばそこさえおさえていれば医療経験が浅くてもクレームの来ない良い先生になれるのです。もちろんクリニックの院長も質が悪いか知る由もない(カルテ見てたら分かることも(笑))し、ましてや患者さんからクレームどころか「あの先生やさしくていい」って言われるなら何も言うことはありませんよね。
しかし、今まで初期研修終了後2,3年以内の先生で気付くのが遅ければ死んでいたかもしれないようなこともありました。実際の例を言うと、訪問診療で血液検査をしてカリウムという値が高かったので下げる薬を処方するつもりがカリウムを上げる薬を処方するという事件がありました(えっ?薬局さんが気付くのでは?と思われる方もいるでしょうが、訪問診療において病院のように薬局さんとカルテを共有しているわけではないので血液検査の結果なんて知らないのです。なので薬局さんもなんだこの患者さんカリウム低いのかと思い処方されたまま渡してしまいます。)。これはたまたま診療報酬を請求する事務さん(普段から医療行為に病名をつけてくれているので)が気付き事なきを得ました。このようなミスは経験のある程度ある医師は絶対と言ってもいいぐらいしません。過去にあった抗がん剤のタキソールとタキソテールや糖尿病薬のアマリールと不整脈薬のアルマールの間違えとは質の異なるミスなのです。経験が豊富な医師もあってはいけないが、名前を打ち間違えたやよく知らないなどはありますが、作用が全く逆な薬を投与することはほぼないと言ってもいいでしょう。
以上2回にわたり訪問診療の世界に入ってこられる医師が若手・年配問わず多い理由を説明し美味しい世界?という少し揶揄しているような表現に見えたかもしれません。誤解してほしくないのは、批判しているわけではないということです。この人材不足の中、多くの人が来られるのはクオリティの上昇につながります。また経験がまったくない初期研修終了した26歳の先生でもそこからしっかり勉強して今や人柄も実力も優秀な訪問診療医になっている先生を私は知っています。
私が医学部に入学したときに、友人の中に親が医師で他になりたい職業もなく安定しているし成績もよかったから医学部に入学したという人がいました。でもその友人は医学を学び、病気の人と接していくうちに楽な甘い職業ではないことに気づき一生懸命努力して、いまや誰よりも患者さんに対して一番努力している医師になっています。
要するに動機が何であれ、実際にその世界に入って一生懸命努力するかなのだと思います。直訪と言われようが、必死で病気や患者さんと向き合い勉強していけば、すぐに大学病院で何年も研鑽を積んで来られた先生でもすぐに追い抜けます。HPやこのブログでも再三いってきたように医療は日進月歩で歩くのをやめたらすぐに追い抜かれる世界だからです。
私も他人ごとではありませんのでこの話は自分にしつこく言い聞かせています。もし努力しなくなりついていけなくなった際は潔く医師というか診療から離れようと思います。私を知っている人は良くご存じでしょうがそうなったらもんじゃ焼きのお店をやると決めています!
長い文を最後まで読んでいただきありがとうございます。次回は『訪問診療に向いている診療科や必要な診療科』をお話する予定です。ではまた!
Thank you for taking the time out to read blog articles.
See ya!




