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訪問診療は甘い世界?①

  • eternalclinic
  • 5月23日
  • 読了時間: 7分


みなさんご覧いただきありがとうございます。前回開業にあたりの最後にふれましたが、私が全国100ヶ所以上の訪問診療クリニックを回った中で今まで経験したことをお話していこうと思います。記念すべき第1回は訪問診療の世界についてお話しようと思います。題して『訪問診療の世界は甘い?』


 訪問診療に入ってこられる先生は非常に多くなってきています。初期研修終わってすぐ美容外科に行く先生を『直美』などと言い最近ニュースでも話題になっております。実は訪問診療も直美ならぬ『直訪』という言葉ができてきています。同じように初期研修終わるとすぐに訪問診療の世界に来られる先生のことを指します。それは良い悪いかの前になぜこういうことがあるのかをあくまで個人の意見としてお話いたします。


結論、訪問診療の世界は甘くて美味しいからです。


理由は大まかにいうと直美が増えている理由とおなじで

1. 業務時間がはっきりと決まっている、拘束時間が短い


2. 特別な知識や技術が必要ない、責任が重くない(そんなことはない!)


(→次回お話いたします)

3. 1と2のわりに給料が格段に高い 


4. 研修終わったばかりなどの経験が浅い先生でも、上司からあれこれ言われることなく

好きにできるし一人前に扱ってもらえる



しかし、美容外科に行くと診療的な部分から離れてしまう不安も多いので折衷案みたいなもので訪問診療に来る方が増えています。『患者さんに寄り添いたくて訪問診療に来ました』は結構な人言いますが本当の理由である人はほとんどいないと思っています。(ないと思うけど本当にそういう理由でのみ来られた方がいたらごめんさい!)


ではそれぞれの理由をみていきましょう。


1. 業務時間がはっきりと決まっている、拘束時間が短い。


 私は心臓血管外科医として大学病院で勤務しているときは朝4時ぐらいまでいることが普通で帰らない日なんて結構ありました。また朝4時に帰ってもシャワーと少しの仮眠で3時間後の朝7時のカンファレンスから朝4時まで勤務の繰り返しでした。(もちろん身体も精神もおかしくなります)その点訪問診療の多くのクリニックは9時出勤の18時終業で残業もありません。その後は当番でなければ呼ばれることもありませんし、契約時に夜や休日の当番はなしということもできるので確実に自分の時間が確保できます。

 余談ですが、市中病院や大学病院も当番の先生はいますが、自分の担当の患者さんに何かあれば基本的には主治医が対応するのがルールのことが多いので当番じゃなくてもいつ呼ばれるか分かりません。(そのため私は外科に入ってから日本ではお酒を飲んだことがありません!)特に外科系はその傾向が強いと思います。




2. 特別な知識や技術が必要ない、責任が重くない(そんなことはない!)


 特別な知識や技術が必要ないという先生もいます。現に今の訪問診療の多くは当院のHPでの最初に書いた通り、診察や聴診器を当てたりせずに『大丈夫ですか?お身体気をつけてください』などやさしい言葉をかけて終わりというのが横行しています。まぁそれは昔の先生がお医者様的な態度で怖かったギャップもありすごく新鮮でケーキのような魅力があるのだと思います。もちろんそれは人として医師として非常に大事なことではありますがあくまでケーキ作りで言えば必要な道具を準備することと同じです。それができなければ何もはじまらないですが、ただそれだけでケーキはつくれません。


Q:もしあなたが治療法がない数か月しか生きられない病気にかかったとします。どちらの先生の治療を望みますか?



・A先生:すごく優しくて気持ちも汲んでくれるけど治せない先生


・B先生:診察に来るたびに舌打ちされて何で来たんだ帰れと言われるけど、その病気を完全に治すことができる知識や技術をもっている先生


多くの方がB先生を選ぶ方と思います。極端な話をしましたが、言いたいことは

医師は病気を治すことを忘れてはいけない、もし治すことができなくても痛みなどの症状をとることを忘れてはいけないということです。もちろん、気持ちもあって実力もある先生が一番ですが汗


ケーキ屋でいうと(もういいよ!そのたとえはとお思いかもしれませんが)、接客態度は非常にいいけどケーキの味が非常に不味いケーキ屋なのか、接客態度は悪いけどめちゃくちゃ美味しいケーキ屋どちらを選ぶのかということです。もちろん接客態度も良くて味も良いケーキ屋が一番なんですが汗


 勤務したクリニックの先生に始めた理由を聞くと『知識や技術がいらず誰でもできるから』といった先生も数人いらっしゃいました。そんことは断じてありません!現に今まで入院レベルの心不全の患者さんが在宅での加療をどうしてもと望んだケースも多くありましたが、コントロール良好な状態に持っていくことができた場合も多くあります。それができたのも心不全に対する最新の知識やエビデンス、診断技術などが大きいです。

 

 静岡の神経内科が中心の病院で、在宅医療部門で勤務していたときにパーキンソン病の権威である順天堂大学神経内科前教授で現在ニューロン‐グリア クロストークセンター長の

服部信孝先生が勤務しており外来だけでなく訪問診療もされていました。お昼休みにお話する機会が何回もあり直球で質問したことがあります。


「先生は訪問診療どう思いますか?」

・「先生の医局の経験が中間ぐらいの先生が病院で同じパーキンソン病の患者さんを治療するのと服部先生が訪問診療で治療するならどちらが良い治療ができますか?」


 先生の回答は..........『治療などの医学的な部分よりコミュニケーション的な部分だけが見られてしまうところが残念。治療は家に行って普段の状態が診れる患者さんも症状を言いやすい環境なので訪問診療の方がよくできる可能性がある。DBS(脳深部刺激療法)などはできないのでそこは病院に劣るが内服コントロールなら内服調整をする先生の力量が優秀なら病院よりいい治療ができることも多いので俺が訪問診療でした方がいいよ(笑)』でした。

私も同意見です。外科的治療や特殊な機器が必要なら病院での治療に分がありますが、内服がメインの治療などは家で普段通りしている状態で行う訪問診療に分があると思います。ただ、その治療を決める医師の力量でかなり変動するものなのでしっかりとした知識や技術を身につける必要があります。




では訪問診療でそういったいわゆる『医者としての力量』がなぜピックアップされ辛いのでしょうか?1つ目はお医者さんが来てくれるだけでありがたく、力量は二の次になりやすいから。2つ目は訪問診療の患者相は80歳以上が多いため、何があっても高齢だったからで済む傾向があるからです。15歳の患者さんが亡くなったとしたらご家族様は明確な理由がないと納得しないと思いますが、高齢者の患者さんであれば寿命ですで通ることが多いのです。

でも自分のおばあちゃんやおじいちゃんで考えてください。何歳になろうが1日でも永く生きていてほしい大切な家族です。訪問診療であろうが病院の診察・治療であろうがその気持ちをもって医療に取り組むべきではないのでしょうか。ふぅー、少し熱くなってしまったようです(笑)。

訪問診療が増えている理由に責任が重くないというのがあるのも前述が理由です。同じようなことでも15歳の患者さんが亡くなれば訴訟になったりする可能性があっても高齢者であればなりにくいからです。また何か困れば本人や家族の意志を無視してでも病院に搬送して責任を回避できてしまいます。


次回3番目の理由として給料のお話をいたしますが、医師の給料の高さは責任の重さだと私は思っています。長い文を最後まで読んでいただきありがとうございます。ではまた!



Thank you for taking the time out to read blog articles.


   See ya!




 
 
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